バスで徳島に向かいながら、むかしの感情がよみがえってきた。
学生のころ、春休みと夏休み、青春18きっぷで徳島に通っていた。
浜松、大垣、米原、大阪、姫路、岡山…
電車を乗り継ぎ西へ西へと、実家から10時間以上かけて四国に上陸したら、香川から徳島まであと2時間の汽車の旅。
あたりはもう暗くなっていて、車窓から見た外の景色の記憶はない。
乗客は少しずつ減っていって、この車両には自分ひとり。
車掌さんに降りる駅を聞かれ、到着前に「つぎだよ」と声をかけてくれたこともあったが、乗り過ごすなんて考えられなかった。
目的地に近づくころには、僕の心臓はばくばくと音を立てて身体から飛び出しそうになっていたからだ。

