HASTINGS “WILSON’S WOBBLER”
100mm・3/4oz

オールドプラグのペンシルベイトって少ない。
アメリカのコレクターズブックを見ていると
「そりゃアイデアも出尽くすよな」
と思うほど、おびただしい数のプラグが登場する。
日本の新製品とかで「これは新しい!」などとPRされているものでも、同じようなルアーが1世紀近く前のアメリカにもあった、なんてことは少なくない。
それがペンシルベイトに的を絞って探してみると。
現在のそのオーソドックスな存在感とは裏腹に、これは使えそうだな、というようなプラグにはなかなか出会えない。
その理由はたぶん、いま僕らが動かすようなやりかたでプラグを使う人が、昔はいなかったから、じゃないかと思っている。
そこへきてこのプラグ。
頭部に彫られた4つの溝が妖しく、かっこいい。
これはどう見てもペンシルベイトだ。
サイズは十分。
持った重さの感じも、ちょうどいいバランスに思える。
いまでもきっと使えるだろうと思う。
そして、実際に使ってみてもペンシルベイトらしく動く。
始動がややもたついたり、動かしているときのフィーリングがもう一つだったりはするけれど、ちゃんと首を振って、そこそこのスケーティングアクションもみせる。
悪くない。
このプラグ、驚くべきことに、1910年代にすでに完成していたという。
いったい、そのころどんな使われ方をしていたのだろうか?
WILSON’S WOBBLERをさ~
ロングスケートさせて釣ったときなんかたまらなく気持ちいいよね!
もし一世紀前のアメリカ人たちがこんな会話をしていたら・・・
そんな風に想像すると恐ろしくもある。
スローアンドステディのトップウォータープラッギングは、日本オリジナルの文化ではなかったのか。
ひとつ、その疑問の答えになりそうなものがある。
以前、とある海外のHPに載っていたこのプラグの箱。
そこには、”Semi-Surface Bait”と書かれていた。
そう言われてみれば、アクション中はダイブしやすく、回収しようとすると、スッと水中に入ってフラフラと泳いでいた。
頭の溝はそのためのものか。
さらに”FLOATS WHEN NOT IN MOTION”とも書いてある。
「止めてる時は浮いてるよ」
つまり、アクションさせると沈みますということだろう。
トローリングやただ巻きでフラフラ動かしていたか、適当にロッドを動かしてピョコピョコやってたか知らないけれど、今、僕らがやるようには使わないことはたぶん確かだ。
ああよかった(ちょっとほっとする)。