2026年初釣り

今年は仕事のスケジュールに余裕があり、いい季節になったら釣り合宿をしてみようかなどと思っていたところ、4月から想定外の職責が加わり、身体も頭も持っていかれている。
寄稿集のつぎは、トップウォーター年表をブラッシュアップしたり、プラグ紹介のページを充実させたりしたかったがそれも難しそう。
毎日1時間ずつでもコツコツ取り組めば、あれもこれもできるはずだが、これというプロジェクトに飛びついて、それを完成させることだけに集中して過ごす、というやり方しか自分はできない。
おのれの性分が恨めしい。

所長が誘ってくれたので、今年初のトップウォーターバスフィッシングに行けた。

湖には予想外の濁りが入っていて、ときおり吹く風も冷たく、勢いよく水が落ちる流れ込みを横切らせたジュニア君ハンドメイドのペンシルに黒い影が追尾したのが唯一の反応だった。

アーキテクト・ヴァンパイア

「釣れなくても楽しい」
というのは、スタイルの表明というよりたんなる事実であって、謎ですらある。

「インスタ見てると、ボートをずっと動かしながら斜め斜めにキャストを重ねていく釣りしてたりしますよね」
「テンポ良く広範囲に釣りができて、確率が上がりそうだよね。やってみたいかというと微妙だけど」

「こういうときはロングポーズが効くかもしれませんね」
「そうだね。でもあれって、ポイントが絞れてないと、なかなか続けられないよね」

やらない言い訳に長けたさまは、まるで窓際サラリーマンのようだ。
バスが釣りたい、もっと釣れるようになりたいという気持ちはあるけれど、いつもそこには条件がついてまわる。

なじみの美容師さんがバス釣りもちょっとやる人で、その人に「好きなルアーを使ってでしか、バスを釣る気にならないんですよね」と話したところ、「めんどくさい人ですね」と言われた。
まあそうかもしれないけど、自然とそうなってしまったのだからしょうがない。
そもそも、ルアーフィッシングだって、ルアーという縛りのなかで釣りをすることだし、なぜかと聞かれても、そのことについて考えたことがある人なんてわずかだろう。
自分が設定したゲームのなかに豊穣で熱中できるものを感じていたら、世界の境界は気にならない。

このような、いってみれば人間の「わがまま」みたいなものを、深いところで、さまざまに受け止めてくれるのが、バス釣りのいいところなんじゃないか。

その一方で、灼熱の夏がくる前に最初の1匹を釣っておかねば、といった焦りも切実につのる。
去年釣ったバスは1匹で、バス釣りをはじめてから30年ちかく毎年バスを釣っており、途絶えさせたくない。

トップウォータージャンキー・ヴァンガード

自分の場合、「わがまま」がなにと共鳴しているかというと、それはプラグであり、プラグを動かすプラッギングになる。

この日も何回首振りをさせただろうか。
ワンキャストで10回首振りさせるとして、キャストから回収まで1分。
1時間に600ウォークさせていることになる。
この日は9時間釣りしたので概算合計5,400ターン。
久しぶりの釣りで左手の握力がなくなった。

楽しかったのはトップウォータージャンキーのチックイーターとヴァンガード、ハトリーズのサスピション、ギルモアのBIG-G。
それぞれのプラグにそれぞれの間合いがあって、その日の自分のリズムや、フィールドの景色とフィットしたり、しなかったりする。
ナイスキャストのあとにナイスプラッギングができたときの恍惚した心持ち。
それに「くるか!」と期待が重なったときの高揚感。
羽鳥さんが探究した犬歩きの冒険は、このようにして今も続いているのだと思う。

ぜんぜん話は変わるけど、何年も前、釣りの帰りに寄った定食屋で、おたがい自分がなにを食べたのかはまったく記憶になく、しかし相手が注文したものは覚えていた、という事実も印象に残った。

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