shallowtrickの名前は、むかし「エサチャウデ」というホームページをされていた、猿さんという方が作っていたプラグたちの屋号。
「浅はかなくわだて」という意味らしく、新しくサイトを立ち上げるにあたってなんとなく思い立って、勝手に使うことにした。
猿さんは私を初めて旧吉野川の連れていってくれた人。
当時、アングリングネットの掲示板で「今度944(きゅうよし)に行ってきます」という猿さんの書き込みを見て、「私も行きたいです!」とコンタクトを取って一緒に行くことにしてもらった。
浪人生活の終わりが決まった3月のこと。
当時の私は19歳。
静岡から札幌に旅立つ前のタイミングだった。
猿さんは30歳ちょっとだったろうか。
夜の京都の宇治駅に電車で向かい、合流して車で944に向かった。
バスは釣れなかった。
猿さんのブルーバグのヴァンガードにバイトらしきものが、1回だけあったと思う。
「エサチャウデ」には釣りについての哲学的な考察が多く、それが僕には刺激的だった。
今はホームページが消えて読めないが、
アングリングネットに猿さんの以下のような言葉が残されていた。
ルアーをポイントへとキャストする時、自然とルアーに対して感情移入していることに気付いた。
リールのハンドルを回しロッドを操作する。激しくあるいはゆっくりと。騒々しく時には静かに。
そうやって手の内に操られるルアーは、自分自身であるといえる。ボートの上、あるいは岸にいる肉体はすでに抜け殻であり、魂はルアーの側にある。ルアーにアクションを与えている数秒間、魚を釣るための道具に変身しているのだ。
人間以外のモノになっている瞬間。この瞬間が楽しくて、僕はトップウォータープラッギングを続けているのかもしれない。
トップウォータープラッギングの面白さは色々あるけれど、自分の分身をポイントに送り込み、あたかも自分がその場で魚を誘き寄せ、直接魚と渡り合うような、そんなダイレクトな感覚が、魅力の一つなのだと僕は思う。
あえて舞台を水面という釣り人と魚のテリトリーの境界線に限定し、一見遠回りな釣り方でありながら、感覚的には自分が魚を直接獲りにいっているような、そんな釣り方。それがトップウォータープラッギングなのだと僕は思う。
一緒に944に行ったあと私は北海道に移ったので、その後ご一緒する機会は少なかったが、たしか高知のアマゴ釣りに行ったと思う。
それとはじめてビワコオオナマズを釣った時は駆けつけてくれた。
メールでのやり取りは時々あって、「バスの下アゴを掴むこと」という文章を書いたとき、褒めてくれてことが嬉しかった。
いつしか、猿さんはネットからいなくなってしまい、どんな生活をされているのか、釣りをしているのかも分からなくなった。
友人とも、どうしているんだろうね、と時々話していた。
あの当時の猿さんの年齢を追い越した今になって、若いころにあのような猿さんの文章を読んだことが、自分に大きな影響を残していると分かるようになった。
だから、サイトをはじめるときなんとなく、そのスタンスを受け継ぐぞ、というような気持ちになったのだと思う。
それと、今も僕に大きな影響を残す、あのころのインターネットへの思いも重なっていたかもしれない。

そんな猿さんから、十数年ぶりの連絡があったのは先日のこと。
たまたまこのホームページを発見したらしい。
連絡をくれたことがうれしかった。
久しぶりに会って、ご飯を食べながら色々な話をした。
猿さんはタックルボックス持参。
なんか昔以上にマニアックに、自分の趣味を追求しているような気がする…。
「最初は面識もないのに、いくなりコンタクトして来たからびっくりした。
一緒に944って…僕が変質者やったらどうしてたん!?」
というわけで、shallowtrickの屋号は、のれん分けとして、正式な許可を得て使用しています。
猿さんのインスタ
https://www.instagram.com/namazu69/
「さすが猿さん!」とうなった投稿の一例
https://www.instagram.com/p/CVY00X0B1LM/?utm_source=ig_web_copy_link
想い入れから素敵な再会につながる、こちらまで嬉しくなる文!
猿さんのインスタ紹介も感謝!
>ヒトと魚類を繋ぐ共通言語
しびれたぁ。そこまでの流れも読む楽しさ満載で、脳が震える衝撃です。
ありがとうございます。
猿さんのインスタ
同じ一文にぐっときてる笑
リバーラントが時空を越えて人と魚をつなぐ!
照照照照
あーこんな昔に書いた文章が白日の元に晒されると!!!
変な汗出ますねぇ。
ま、まぁでも今でも考えてる事は同じような事やから、意外とまぁアレですね。
ん?いっこも進歩してないってことでもあるのか?
ま、とにかくダシヨ君!ありがとう!
あ、ポールさんはじめまして。
UDON-CHA読んで、なんだかわからないけどすごく大事なものをどこかに忘れてきたような、そんな気分になって、ぽろっと涙がこぼれました。
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