夏休みのバッシング

この日の目的地は遠くのリザーバー。
僕は4年ぶり。ホソミ所長は初めて行く。

お昼ころに出発し、高速を走りに走って、現地で夕食を買い込む。
この夏の危険な暑さを避けるため、夕まずめに釣りして、現地に泊まって、翌朝から日が昇るまで釣りしようという計画。



15時過ぎに湖畔に着く。
僕らのほかに釣り人の姿はなく、空は曇っていて意外なほど暑くない。
テンションが一気に上がる。

かなり減水していることを知っていたのでボートを降ろせるか心配していたが、それも問題なさそう。
水辺近くの乾いた土の上に、ナミハンミョウの姿を見つけて嬉しくなった。

湖面に漕ぎだす。お尻がふわっとする、いつもの特別な瞬間。
ツクツクボウシの鳴く声が聞こえてきて、夏の終わりを錯覚する。

何度も通ったリザーバーだからと船頭役を買って出る。
夕まずめの時間をどう過ごそうかと考えながら、まずは反応を探ろうと実績の高いダムサイトに向けてボートを進めていく。

いつもならこの辺りから反応が出始める岩場の斜面。
そこからダムサイト近くの一級ポイントまで、ホソミに内緒でそわそわしながらキャストを繰り返すものの反応がない。

ダムサイトから引き返して少し行った岬でボイルがある。
インナーハンドW.B.を投げてスライドさせると「ジュボ」と水面が割れたが持ち込まなかった。

この日のしつらえ

大きくポイントを移動しようと支流に向かいながら、気になるポイントがあるとエレキの速度を緩めて打つ。
今回、ホソミはロッドを3本も持ち込んでいて、その1本はライトプラグ用らしくズイールのBチマサーブが結んである。
岬の先端でそのサーブにバイト。
これも持ち込まなかったが、反応があると楽しい。

支流のひとつを上るが減水のためにすぐ行き止まりになる。
引き返してきたところで、遅れてやってきたワダちゃん、まっさん組のボートが視界に入った。

様子を聞くと、ワダちゃんは1匹釣ったという。
さっき僕らも狙った大きな一枚岩のポイント。
プラグはパラノイアのワイプ。
まっさんもバイトが何回かあったと聞いて、がぜんやる気が出てきた。
スロープに戻るまでの岩場を今日最後の狙い場所と決めて流すことにした。

いつの間にかヒグラシの声に囲まれている。
あたりが少しずつ暗くなってくる。
今日は帰らなくてもいい。

声がしてホソミを見るとロッドが曲がっていた。
チョップドアブサンの回収中に襲われたらしい。
ファイトしながら「今のはちょっとなぁ」とつぶやくホソミに、「キャッチしてよ!」と祈るように声をかける。
上がってきたのはこの湖らしい銀色の魚。
久しぶりに目にしたその輝きにうれしさがこみ上げてくる。

待望の一匹を、ひとしきり撮影して逃がして、キャスト再開。
と、岬の先端と立木の絡むポイントでまたもや所長にバイト。
2キャスト連続。
プラグも一緒。
でも今回は水面で食わせた。

所長の快進撃は続き、サーブのポッピングを駆使して1匹追加。
これはけっこう岸から離れたところでバイトしてきた。

僕はチクタクに小さそうなバイトのみ。
今こそというタイミングで、JUNKYS JUNKYSスペシャルのクロウラータイプを夕闇に躍らせたが何も起こらなかった。

トップウォータージャンキーのチョップドアブサンでヒット


2日目の朝、4時前に起きるがまだしっかり暗い。
だらだらと準備をしたせいで、湖面に浮いたのは5時近くになっていた。

ヴァンガードのファーストキャスト。
ツー、ツー、ツー、ツーと4回ほど首振りさせるとジュボっとバイト。
びっくりしてロッドをあおったが手ごたえはなかった。

今日は本流を上っていくことに決めていた。
ときどきバスが小魚を追ってボイルする。
引き波か、エレキの音で小魚が驚いたところでスイッチが入るのか、ボートが通り過ぎた後に起こることが多い。

とても小さな小魚を追っているときもあれば、僕らが投げているフルサイズのトップウォータープラグのような魚がぴょんぴょんと湖面を跳ねていくこともある。
そんな時に限ってノイジープラグをのたのたとリトリーブしたりしていてなかなかタイミングが合わない。
小魚とバスの気配を感じながらボートを上流に進めて行く。

本流の上流まできて、もっとも期待する岩盤エリアを無反応で通り過ぎたあと、またしてもホソミのサーブが火を噴く。
サイズはそれほどでなくても、釣れるのはどれもよく引いて、コンディションのよいピカピカのバスばかりだ。

さらに上流にボートを進めると、向かう先でボイルが起こった。
バスが小魚を岸まで追い込んだのが見える。

ホソミに譲ってもらう格好で、まだバスが泳いでそうな岸際にアーキテクトのクイックシルバーを投げる。
直立浮きのペンシルベイトを、左右の動きにときおりダイブを交えながら引いてくる。
が、出ない。

間をおかずもう少し先にキャスト。
ショアラインとほぼ並行に、岸際から少し離れたコースを連続アクションで引いてくる。
左右のクイックなドッグウォークを何度かした後、ちょっとだけ間をあけて、次のトゥイッチでプラグがダイブし、ふたたびウォーキングに切り替わったところで岸際の岩陰からスーッとプラグに近づく引き波が立ち、控えめな飛沫をあげてプラグを食らった。

努めて冷静にファイトして、最後はこないだのヒデキくんがやってたイメージでハンドランディング。
やったー!


全身をめぐる喜びにしばし恍惚…と思いきや
「ブーン、ブーン」という大きな音ともにでかいスズメバチが襲ってきた。
船上パニックになり、バスを持ったままエレキを全開にして、身体を振り続ける。
ぐるぐると旋回し続けるボート、騒ぎたてる釣り人ふたり、しつこく襲ってくるでかくて黄色いそいつ…。

ボートふちに止まったその虫の姿を見て気が抜けた。

「アブかい!」

ウシアブと余裕の2ショット(油断すると血を吸われる)
バスとアーキテクト・クイックシルバーオイカワ♀
オイカワカラーのプラグとバスの2ショット(うれしい)


太陽が昇って暑くなってきた。
スロープに戻りはじめながらの途中の岩盤。

「ぼっこーん!」

とすごい音がして右を向くとホソミのロッドが曲がっていた。
JUNKYS JUNKYSのノイジー、ワンアクション目の強烈バイトだった。
ホソミ大興奮。


日差しが厳しくなってきて、もうお終いにしようかとスロープに戻ったのは9時だった。

束の間の、贅沢すぎる夏休み。
小魚を追って躍動するバスたちを追いかけた。
ああ、楽しかった。

夏休みのバッシング」への2件のフィードバック

  1. 再び読ませていただきまして気づいたのですが、なんと!ボックスに15Aが入ってるー!
    先日釣りの行きしなにふとして買ったのですが、やっと見つけた!と感じる動きと使い心地でマイブームになっています(^-^)

  2. さそりさま

    よくぞ気づいてくださいましたね。
    静岡のお店から通販で買いました。

    私も初めて使いましたが、同感!
    浮力高いし、めっちゃ泳ぐ!

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