
永井文雄さんのバスブローチ。
バルサ50の広告のイラストなどで目にし、憧れていた永井さんの彫刻作品が届いた。
これはなかでも最小サイズだと思う。
手にした第一印象は「?」だった。
想像よりも存在感がない。
模様が薄く、めだまも黒一色でやや味気ない。
すこしモヤモヤをかかえたまま、しばらく眺めていると、ふと光があたったときに、黒のめだまのなかに輪っかが見えた気がした。
さらによく見る。
たしかに黒のなかに、うっすらと白い輪がある。
黒目を囲う、あのブラックバスの金色の輪。
そこから、つぶさに眺めることで、いくつものリアルが浮かび上がった。
彫りの手あとが骨になる。
さらっと描かれた黒の点が、ランカーバスの厚いうろこになる。
こうしたリアルを、自分が見つけたかのように思えるのがうれしい。
心のなかに、このバスの居場所ができた。